緑内障について
緑内障とは
・ 緑内障は眼圧の上昇などにより進行性に視神経が障害され、視覚を障害する病気です。
・ 完治する病気ではなく、ゆっくりと視覚障害は進行します。
・ 視覚を少しでも長く維持するために、眼圧を常に一定の範囲に保つ必要があります。
房水と眼圧
房水の流れ
- 眼の中には血液の代わりとなって栄養などを運ぶ、房水とよばれる液体が流れています。
- 房水は毛様体から作られ、主に隅角から排出されます。眼の形状は、この房水の圧力によって保たれていて、これを眼圧と呼びます。
- 緑内障はこの隅角もしくは房水の排泄経路が生まれつき、もしくは生まれてから異常をきたし、様々な要因が加わることで悪循環に陥り、急性に眼圧が上昇します。
緑内障の治療
内科療法
緑内障の薬にはさまざまなものがありますが、中でもラタノプロスト点眼薬(キサラタン)はヒト同様、第一選択薬です。
キサラタン
ラタノプロスト点眼薬
- 眼犬では瞳孔が縮む(縮瞳)作用も加わることで、効果が強く迅速に眼圧を下げてくれます。
- ずっと使っていくうちに薬がきかなくなり、視神経の障害が進行することがあります。
- 眼内炎症がある場合は禁忌です。
外科療法
視覚のある緑内障に対しては、前房シャント術を行います。
前房シャントの模式図
前房シャント術
- 緑内障インプラントを結膜下に設置し、房水を結膜下に排泄、吸収させることで眼圧を維持させます。
- キサラタンで眼圧が下がらない場合、目薬で眼圧が維持できなくなった場合、もしくは長期の視覚維持を積極的に希望される場合に適用となります。
緑内障インプラント
Valve付きインプラント
緑内障インプラントを結膜下に設置し、房水を結膜下に排泄、吸収させることで眼圧を維持させます。コストは高め。
Valve無し(Non-valve)インプラント
インプラントチューブの抵抗に依存し、房水が排泄
前房シャント手術のリスク、入院
- 全身麻酔下で手術は行います。
- 術後は感染を予防するために抗生剤、術後眼内炎を抑制するためにステロイドを投与します。
- 手術後3~4日はシャントチューブがつまりやすく、眼圧が安定しないので入院が必要となります。
- 術後はしばらく目薬が必要となりますが、安定したら休薬ができます。
- シャントチューブの入り口がつまったり、線維膜が形成されることで、眼圧が再上昇することがあります。その場合再度それらを取り除いたり、溶かす処置が必要となることがあります。
- 術後合併症としては、術後眼内炎、眼内出血、網膜剥離が生じる可能性があります。
急性緑内障の眼:角膜浮腫(黒目の白濁)と瞳孔散大が認められる
退院後のアイチェック
退院後、定期的な眼圧のチェックが必要となります。以下、 家でのチェック項目となります。
- 眼圧の上昇:黒目が白く濁っていないか
- 白目が赤く充血していないか
- 瞳孔が開いていないか
- 痛みで眼が半開きになっていないか
- 視覚の有無:眼の前に手をかざして瞼を閉じるかどうか
視覚のない緑内障の治療
・ 緑内障は進行性に不可逆的に視神経を障害することで、最終的には失明に至ります。
・ また、眼圧がコントロールできなくなり、慢性化した眼は大きくなり(牛眼)、痛みを伴います。
・ 大きくなった眼は、瞬きにより完全に眼が閉じなくなりことで、傷ができやすくなったり、
感染を起こしやすくなり、眼が穿孔してしまうこともあります。
・ 視覚のない慢性緑内障の眼は、大きくなった眼を小さくすること、痛みを取り除いてあげることが必要となります。
視覚のない緑内障の治療
- 緑内障は進行性に不可逆的に視神経を障害することで、最終的には失明に至ります。
- また、眼圧がコントロールできなくなり、慢性化した眼は大きくなり(牛眼)、痛みを伴います。
- 大きくなった眼は、瞬きにより完全に眼が閉じなくなりことで、傷ができやすくなったり、感染を起こしやすくなり、眼が穿孔してしまうこともあります。
- 視覚のない慢性緑内障の眼は、大きくなった眼を小さくすること、痛みを取り除いてあげることが必要となります。
眼の大きさを小さくすること、痛みを取り除くために以下の方法があります。
【眼球摘出術】
眼球を取り除く手術です。抜糸後の術後の管理は必要なくなりますので、動物には負担がありませんが、見た目が痛々しいのでご希望されない場合も多いです。
【義眼手術】
シリコンインプラントを眼内に入れる手術です。見た目は眼が少し白くなってしまいますが、大きさもシリコンの大きさまで縮むので、違和感はないです。術後、涙の量が一時的に減ってしまうので、しばらくドライアイの目薬が必要となります。
【硝子体内薬液注入】
硝子体内に房水を産生する組織を破壊する薬液を注入します。低コストで行えますが、一度でうまくいかない場合も多いのと、眼が小さくなりすぎてしまい、目ヤニや涙の原因となる場合があります。
急性緑内障は時間の経過によって、失明に至る、救急疾患です。